働き方改革に取り組み、労働生産性を劇的に向上したいと考える企業は多いでしょう。市場競争が激化したり顧客ニーズが多様化したことで、ビジネスに新しい付加価値を生み出さないと現代社会を生き残ることはできません。
ビジネスに新しい付加価値を生むためには、コア業務のより集中できる環境を整え、事業戦略を立てるためのリソースを作ることが大切です。いわゆる働き方改革を実現することで、そうした環境やリソースを作ることができます。
本稿でご紹介するのは働き方改革をサポートするためのツール群です。
RPA(Robotic Process Automation)
経理や総務といったホワイトカラー分野では、定型的に発生しかつルールや論理が定められている業務が多く存在します。こうした業務の多くは往々にしてRPAによる自動化が可能です。
どのようにして自動化するかというと、一般的には開発者がパソコン操作をRPAに記録させ、記録させた業務プロセスを実行することで自動化が実現します。
“自動化”と聞けばExcelのマクロ機能を思い起こす方も多いでしょう。マクロ機能はExcelドキュメント上の操作を記録し、それを任意のタイミングで実行させられる機能です。たとえば特定のデータを抽出してそれをグラフにまとめるような作業や、さらにPDFファイルとして出力する作業など、Excelドキュメント上で行う定型的な作業であれば大半を自動化できます。ちなみにExcelドキュメントのように特定のアプリケーション内で自動化を実行する機能やソフトウェアをRDA(Robotic Desktop Automation:ロボティック・デスクトップ・オートメーション)と呼びます。
RPAがRDAと決定的に違う点は、特定のアプリケーションに限らず複数のアプリケーションやブラウザなど総合的な環境をまたいだ自動化が可能なことです。
たとえばExcelドキュメント内のデータをグラフにまとめて、それを資料としてPDFファイルで出力する。さらにその資料をクラウドストレージにアップロードしたり関係者にメールで共有したりと、RPAの自動化ならここまでできます。
だからこそ、日本企業によくある人材不足問題の解消や、働き方改革の実現に有効だと注目されています。
社内ポータルサイト
情報共有のためのツールとしてよく使用されるのが社内ポータルサイトです。いわゆる従来の社内掲示板のようなもので、これをWebサイトとしてデジタル化したものを指します。ただし社内掲示板よりも情報更新のスピードが速く、長期にわたって過去の情報を蓄積していけるのが利点です。
Webサイトを構築するための手間をコストはありますが、外部公開するわけではないのセキュリティリスクが低く、強力な情報共有ツールとして活用できます。
Web会議
Web会議が普及したことで会議の様態は変化しています。通常ならば、会議とは特定の場所に参加者が集合して開催するものですが、Web会議にはその概念がありません。参加者全員がWeb会議上の会議室に集まれば、すぐに会議を開催したフェイストゥフェイスでのコミュニケーションが取れます。
なので遠方にある相手とも移動時間ゼロでコミュニケーションが取れますし、それによって交通費などの諸経費を削減できます。
働き方改革においてWeb会議は欠かせないツールであり、とりわけテレワークを実践している企業では必須ツールです。離れた場所にいる人同士がまるでその場にいるかのようなコミュニケーションが取れるので、在宅ワークを行う人材もオフィスにいる人材と簡単に対話できます。
クラウドストレージ
働き方改革を実現するためには気軽にアップロードかつダウンロードできるファイル共有スペースが欠かせません。クラウドストレージはビジネスかプライベートかを問わず導入されているツールの一つであり、すでに導入している企業も多いでしょう。
インターネットを経由してファイルを共有できるため、同じオフィス内にいなくともファイルを共有できますし、かつ顧客先に行ってもファイルを閲覧できるので、様々なワークスタイルを実現できます。
ビジネスチャット
ビジネスコミュニケーションの基本といえばこれまでメールが主流でしたが、最近ではビジネスチャットを導入するケースが増えています。ビジネスチャットを使用すればメールよりも気軽にメッセージのやり取りができ、ちょっとしたミーティングも行えます。
何より、やり取りの履歴が時系列で蓄積されていくので、後でメッセージを見返してミーティングの内容を振り返ることも可能です。ビジネスチャット上でファイルを共有することも可能なので、様々なコミュニケーションの形が実現でします。
社内SNS
社内SNSとはFacebookやTwitterのように、気軽なコミュニケーション基盤を社内に整えるためのツールです。役職や部門の垣根を越えたコミュニケーションが実現すれば新しいアイディアが生まれやすくなたったり、気軽なコミュニケーションスペースとして情報共有が促進します。
経営者や役員が率先して社内SNSの活用に取り組めば、新しい企業文化を創出したり働き方改革の一手として活用できます。
グループウェア
グループウェアとはここまでご紹介したRPAを除くツールを包括的に提供するためのツールです。グループウェアを導入することで社内外のコミュニケーションを基盤を整えることが可能であり、特にクラウドサービスならば働き方改革の実現に大きく貢献します。
現在ではコミュニケーションのためのツールだけでなく、様々なビジネスを遂行するためのツールが備わっており、製品ごとにその特長が違います。
位置情報
スマートフォンなどに備わっている位置情報は、単にユーザーサービスを充実させるための技術ではありません。最近では車両管理システムなどでも使用され、労働環境を改善するためのツールとして注目されています。
位置情報を活用すれば営業先から直帰したり、あるいは自宅から営業先にそのまま移動したりと様々な活用方法があります。
BI(Business Intelligence)
BIとはデータ分析をもっと身近に、もっと気軽にするためのツールです。データ分析と聞くと複雑なプログラムを生成し、大量のデータを読み込ませて分析しすることを想像します。BIはプログラムの生成なくデータさえあれば分析が可能なツールです。
もちろん、製品によっては高度な技術を必要としますが、ERP(Enterprise Resource Planning)などのデータ管理基盤があり、それを取り込める環境があれば最低限の知識だけでデータ分析が可能です。
BI活用で大切なことは分析したデータを、如何にしてビジネスに活用するかです。データを分析するだけではビジネスに新しい付加価値を生み出すことはできないため、ビジネスへ活用するためのアイディアを創出することに重点を置きましょう。
働き方改革は複数のツールを有効的に組み合わせよう
働き方改革を実現するにあたって何か特定のツールを導入すればよい、ということはありません。大切なのは実現したい働き方改革によって、複数のツールを組み合わせて有効的な施策を考えることです。そうすることで、本質的な働き方改革を実現し、高い労働生産性をもたらすことができます。その中でもRPAの導入効果に着目し、労働時間削減や人件費削減などのメリットを享受しましょう。